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福島孝徳 著 『神の手の提言』 

 *医師不足ではない。
 *使える医師が不足している。


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  手術をすべきでない医師が手術をしている現実

 未熟な手術が日本では平然と行なわれている!


 福島 孝徳 著 『神の手の提言―日本医療に必要な改革』 角川新書2009年刊 705円+税)


 福島孝徳医師が脳の難手術を行なっている場面をテレビで見た人も多いだろう。彼はアメリカの大学教授にして、 日本にも拠点病院を造り、世界を飛び回る脳外科医である。

 『神の手の提言』という本の題名は誤解を招きやすいが、内容は具体的で豊富だ。

 不幸な患者が増え続ける現状に 黙っていられず、「治せる医師を育てよう」、「日本の医療を変えよう」という使命感に満ちている。福島医師は日本に来ると必ず、大学病院や大病院での不完全、不適切な手術に泣いている患者にたくさん出会うという。だから、彼は能力のない医師が行なった手術を「フォローする」ことが多い。頼まれてやり直し手術をするのだ。

 例えば、6cmもの巨大「聴神経腫瘍」のある29歳の女性は地元の大学教授の手術をうけたが、腫瘍は1割もとれず、あちこちいじくられ、術後寝たきりの状態が2年続き、父親が「どうせ死ぬなら危険を承知でやってください」と福島医師に無理矢理再手術を頼み込んだ。

 その結果、腫瘍は8割がた取り除かれ、患者は立って歩けるようになったという。

 福島医師は次々と直言している。こうした手術を担当するのが大学教授や大病院の部長ら。

 地位のある脳外科医にもかかわらず、彼らは絶対にしてはいけない手術を試して、本当は助かる患者をみすみす寝たきり状態にしてしまう無責任で悲惨な症例をたくさん生み出している。
自分が適切な脳外科手術ができないなら、できる医師に委ねるべきだが、日本の医師はそれをしない。 問題は経験不足でレベルの低い脳外科医が自分の実力以上の難しい手術を試し、失敗するとそのまま知らん振りするなど、めちゃめちゃなことが大学病院や大病院で堂々と行なわれていることだ、と。

 福島医師のこうした見解は、本会の苦情相談で被害者が訴える内容と合致する。 医療被害の多くは、能力のある医師の手術ミスというより、経験不足の未熟な医師が行なう不完全で不適切な手術の結果を想わせるものが多い(上記のさまざまな苦情を参照)。 しかも「手術が失敗すると知らん振りする」のは同じで、十分な事後説明もせず何の責任もとらない。 まずはそこが正されない限り、医師も被害者も救われない。 日本の医療の病根だろう。

 無責任で悲惨な症例は人ごとではない。 数年前、2人のメコン会員から、脳動脈瘤の予防手術後にそれぞれの親御さんが 寝たきり状態になったとの相談があった。 2件の事故は、同じ有名病院の脳外科の部長による執刀で起きた(1件は会報44号に掲載)。

 この部長は、福島医師が問題視する低レベルの脳外科医なのだろうが、 実は、 「いい病院ランキング」を特集した週刊誌に 写真付で掲載されていた。 被害例は当然ながら、この2件に限るまい。患者の命を壊すこんな手術が大手を振っている限り、 日本の医療は崩壊し続ける。

 さらに、例えば、日本の脳外科医が危険な術式、「内視鏡手術」と「血管内コイル塞栓術」を売りにして、未熟な手術を平然と行う無謀さに警鐘を鳴らしている。なぜなら、福島医師のアメリカのオフィスに、毎日のように、内視鏡のミスで重大な合併症が出たり、血管内コイルの事故で麻痺や寝たきりになったり、命を落としたりした患者の家族から、直訴のメールが届くからだ。福島医師の問題提起はここでは紹介しきれない。 脳疾患・がんの脳転移などで脳外科手術を考えている人、 医療の実態を知っておきたい医療消費者には、ぜひ読んでほしい本だ。

 今、医師不足ばかりが騒がれ、医療改革に必須のこういう問題は忘れられている。 (以上)

( 医療消費者ネットワークMECON 『メコン・ニュース』No.60に掲載された記事からお借りしました)

 

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