FC2ブログ

『医師の職業倫理』 日本 

http://www.fine.bun.kyoto-u.ac.jp/tr4/NLsasaki.pdf  から引用

ペテン医者の野放しは許さない!
にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 西宮情報へ


各国の医師の職業倫理 ≪続き≫


日本:森岡恭彦「医の倫理~医師の職業倫理の実践にむけて」

 日本の医師の職業倫理規範については、強制加入の専門職業団体が存在しないために、任意加入団体の規範を自律的に守るという形をとっている。本記事では、森岡東京大学名誉教授の論に従って、日本医師会の倫理綱領を見ることにする。

日本医師会「医の倫理綱領」
 日本医師会の「医の倫理綱領」は昭和26年に示された「医師の倫理綱領」を平成12年に改定したものである。内容は以下の通り。

 医学及び医療は、病める人の治療はもとより、人々の健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基に全ての人に奉仕するものである。

 1.医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
 2.医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心がける。
 3.医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、優しい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
 4.医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
 5.医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守及び法秩序の形成に努める。
 6.医師は医業にあたって営利を目的としない。

 日本における医師の職業倫理規範は、先に示した日本医師会の「医の倫理綱領」などの任意団体内での規制しか存在しない。このため、会員が処罰されることになったとしても、脱退によってその処罰を避けることが可能である。

 唯一、医師法に定められた医道審議会が医師の不正行為や不祥事事件について、罰金や医師免許停止・取り消し等の行政処分を行なっているが、その数は米国などの実情と比べると非常に少なく(年間40数件)、かなり甘いように思われる。 

コメント
 日本の医師職業規範に関するコメントは、そのまま本稿全体を通じてのコメントであると言い換えても差し支えないように思われるので、このコメントでもって本稿を締めさせていただく。各国の医師職業団体制度と日本のそれとを比較するにあたっては、先に紹介したぬで島氏が適格な表を示しているので、それを参考までに記しておく。



懲戒規定をもつ公的身分団体 (強制加入)       職能利益団体(任意加入)
       
イギリス General Medical Council        British Medical Association(BMA)など

フランス L'Orde des medecins          Confederation Syndicats Medicaux Francais
       (地方→全国)                      

                   
ドイツ 各州の組織 Laandesaerztekammer    Verband der Aerzte Deutschlands
          (連邦組織もあり)            (Hartmannbund)など


アメリカ 各州のMedical Licensing Board     American Medical Association(AMA)など


日本      なし日本医師会              Japan Medical Associationなど

 

 本稿全体から見ると必ずしもこのようにはっきりと分けることはできないかもしれないが、この表からすぐに明らかになるのは、日本には医師にとって強制加入の専門的職業団体が存在しないということである。このことは、日本における医師の職業倫理規範は自律的倫理規範としては実行力をもたないことを意味する。「医の倫理綱領」は大枠での内容こそ各国と変わりないと言えるかもしれないが、それを個々の事例において実際に適用する際に、医師が採るべき行為は結局は医師個人の倫理的判断に負うところが大きく、職業団体全体で決定した倫理的行動指針を個々人のレベルで遵守させるという機構が日本においては整っていない。倫理的に不正を犯した医師を確実に処罰する制度が日本には存在しないのである。また日本においては、米国のように医師免許の更新制度もないため、医師はその倫理的行為の指針のみならず、医業にとって必要不可欠な医学的知識に関してさえ、全て医師個人の努力と裁量にかかっていることになる。このこともまた、医師職業団体と医籍を管理する機構が剥離していることから生じる問題の一つ言えるだろう。
自律的なことは結構なことだが、その自律的な判断が外部から批判される時には、専門家としての自律のみならず、その名誉や信頼をも失う危機に面する。結局、自らに甘いということが外部からの規制が必要とされることを意味するようになるだろう。今や、医の倫理はもはや医師内だけの秘密の規範ではなく、民間にとっても大きな関心が注がれる、開いた行為の評価基準になっているように思われる。このような状況で専門的職業団体が自律的であるためには、民間が納得できる基準を示し、その厳格な遵守を保証する制度を設けることによって、医師職業団体としての公的・社会的責任を明確化することが必要であると思われる。

(ささきたく 京都大学大学院文学研究科)


ペテン医者の野放しは許さない!
にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 西宮情報へ

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://bachinvention0925.blog.fc2.com/tb.php/15-1fe99d7d